※ネタバレ



主人公が病院で拾った文庫本。
それは明るく誰からも好かれるクラスメイト山内咲良が、余命一年を宣告されてから綴り始めた秘密の日記帳だった。


という感じで始まる物語です。

山内咲良が命を使って死生観を教えてくれる読後感の良い一冊でした。

読んでいた時は主人公の人間性に共感出来ずイライラしたのですが、でもどちらかというと僕もあまり人と関わらず生きてきたので同族嫌悪の様な感情だったんでしょう。
そんな主人公とは正反対の、人を愛し人に愛される山内咲良の考え方には、主人公と同じく色々教えてもらいました。

特に「この世界に偶然なんてなくて、皆が皆、色々な選択をしてきた結果たどり着く」という考えは素敵なものだと思いました。

タイトルのインパクトが押されがちですが、それも正反対の人間がお互いに教え教えられ辿り着いた答え合わせの様な言葉で、ジーンときました。


そもそもの冒頭は山内咲良の葬儀から始まるのが、愛しい人の突然の死や別れの悲しみを表現する話では無く、命を通して生きる事の意味を教えようとしているのかな、と勝手に解釈しました。


実は親友が脳腫瘍を患い2度手術をしました。その時5年後の生存率等を教えられ、何と言って励まそうか考え、「たまたま親友は病院に行き脳腫瘍が発覚し余命・生存率が判明したが、そもそも検査してない自分達は気付かないだけでもっと思い病気に罹ってて来月には死ぬかも知れない。」と思い至った事があります。だから余命を宣告された人とされていない人の命の重さに違いがあるなんて自惚れだと考えました。

それと似た話を作中で山内咲良や主人公が話しているのを見て、やっぱりその考え方は限りなく正解に近いものなんじゃないかと、再確認出来ました。


小説としては終始読みやすく、大事な人の死というのをちゃんと描きながらもその死生観を受け継ぐ事で、心地よい読後感に浸れる、読んでよかったなと思える一冊でした。


ただ少し気になるのが、山内咲良がホテルで言った「本当は死ぬのが凄い恐いって言ったらどうする?」と言ったその本心が、最後の山内咲良の日記帳等でもあまり触れられなかったのが気になってしまいました。

あとタカヒロ君(山内咲良と主人公にキッツイ一言を浴びせられた元彼君)のその後の人生を考えると、死にたくなりますね。後悔と敗北感を一生抱えて生きていくのでしょうか?ちょっとだけでもフォロー入れて欲しかったですね(笑)



私も死生観を変えてくれるような出会いをしてみたいですね。この人と出会うために生きてきた!みたいなのは今のところ無いですね。無いまま死ぬかも知れませんね。明日通り魔に刺されて死ぬかもしれないので。それも偶然じゃなく、自分が色々選択してきた結果なのでしょうが。